第8回 渋谷の街角で15年、悩み多き人々を見続けてきた運勢鑑定士 鍋田智久

Words from 山口小夜子

鍋田さんとは今回、初めてお目にかかりました。由利子さんのご紹介ですが、それ以前にもTVでお姿を拝見して「この人はすごい!」と実は思っておりました。聞くと、鍋田さんのところに行った人は、みんなハッピーになって帰ってくる、楽しいと口にする、そうですが、お話を伺ってなるほどと納得しました。

渋谷という雑多な街の路上に座り、占いという形で訪れる年齢も立場も役割もさまざまな人々の話に耳を傾け、悩める人々の魂を救ってこられた鍋田さん。人間には心の面倒を見てくれる人がどうしようもなく必要なのだと思います。それは家族や隣人であったり、宗教家であったり、あるいは医師や専門家の助けを借りる方もいるでしょう。そうした中で多くの人が悩んだときに占い師の元を訪れ、その結果に一喜一憂していることを考えると、実はとても大切で大変な役割を果たしているのではないかと感じます。

鍋田さんはその重みをしっかりと受け止めていらっしゃるのでしょう。軽妙な語り口の中にも、嘘は言わない、けれど相手を不幸にすることは言わない、いい加減なことは言わない、と言葉を吟味し、前に進むアドバイスをして背中を押してあげる。感謝する心を持とう、運は自分でつかむもの、というメッセージを携え、悩みを解消し人をハッピーにさせる。ほんとうに貴いお仕事をされているのだと思います。

15年間休むことなく多くの悩める人を救い、すべての出会いに感謝し、出会う人に愛を持って接し、真拳に向き合われるそのお姿を見ていると、聖フランチェスコのことをふと思い出してしまいます。そうしてお話を伺っていると、自分に与えられた役割を精一杯果たし、一つ一つの人やものごととの出会いを真撃に受けとめ、感謝を持って生きたい、という気持ちになってくるのです。

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