第5章 見えるもの、見えないもの

    インタビュー:2007年
    構成:下田敦子

    鈴木清順●SEIJUN SUZUKI
    1923年東京日本橋生まれの下町育ち。学徒出陣し九死に一生を得て復員後、旧制弘前高校を卒業。東大受験に失敗するも48年に松竹大船撮影所助監督試験に合格し映画の道へ。日活に移籍し56年に『港の乾杯 勝利を我が手に』で監督デビュー、以後、専属監督として名を馳せ、映画史に残る名作を次々に発表。その先鋭的映像表現ゆえ会社と衝突することもあり『殺しの烙印』でついに解雇される。77年『悲愁物語』で映画界に復帰後、81年に『ツィゴイネルワイゼン』でベルリン国際映画祭審査員特別賞受賞、05年には『オペレッタ狸御殿』がカンヌ映画祭の特別上映作品として公式上映され、満場の喝采を浴びた。90年に紫綬褒章受章。そのケレン味たっぷりの大胆な構図と色彩に溢れたアヴァンギャルドな映像美は「清順美学」と呼ばれ、メジャーからカルト界までを魅了、世界の名だたる映画監督からもリスペクトされている。01年に公開された「ピストルオペラ」には山口小夜子が出演。2017年、93歳で死去。