第1回 蛍光灯を導く芸術家 伊東篤宏

Words from 山口小夜子

私は音楽の仕事もしていて、DJなどもしています。初めてDJをしたのは恵比寿の某クラブイベントでしたが、そこで伊東さんの蛍光灯作品の音と光に出会いました。

すさまじく激しい音に揺さぶられ、明滅する蛍光灯の明かりの中に立たされたとき、私にとってそれは強烈な体験であると同時に、ある種、癒される体験でもありました。音と光が、身体の中に漂っているリズムとシンクロし、違和感を感じなくなっていったのです。

そのときはオプトロンという、蛍光灯を箱の中に入れたような置き型の機械を使った作品でしたが、その後さらには手で持ち「弾く」形にまで進化していきます。

ところで、どうして彼はそこまで蛍光灯の明かりと関わっていくのでしょう。機械的で、都会的で、苦手とする人もいる蛍光灯の明かり。戦後、日本が戦争に負けて、負けた暗闇を明るく照らし出そうとした蛍光灯の明かり。その蛍光灯を使って、アート作品にした彼の考えをぜひ伺いたかった。

迫力をもって迫る音と光は今の日本の美術状況をはじめとする社会・文化も照射する―そんな興味深い言葉をたくさんいただきました。

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